事故が発生した場合の責任は?
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介護職は事前に確認しておこう
徘徊による事故が発生した際、責任の所在はどこにあるのでしょうか。介護職として働くのであれば、事前に確認しておきたい内容です。
責任を負うケース
利用者が徘徊して事故に遭い怪我を負ったり、命を落としたりした場合の責任はどうなるのでしょうか。徘徊をさせてしまった介護施設側が全責任を負うと思っている人も多いかと思いますが、実際は状況によって変わります。
まずは、介護施設側が損害賠償責任を負うケースを見ていきましょう。これまでに何度も徘徊したことがあったにもかかわらず、安全対策を怠っていた場合は安全配慮義務違反に該当する可能性が高いです。安全配慮義務違反が認められた場合、介護施設側が損害賠償責任を負います。違反に該当するかどうかについては、「徘徊の可能性を認知していたか」「徘徊を防止するためにどういった対策をしていたか」が基準になります。介護施設側は複数の高齢者を見守っています。そのため、完全に徘徊を防ぐのは難しい状況ですが、だからといって「徘徊が起こるのは仕方がない」という認識ではいけません。徘徊が起きないように防止策を講じることは必須であり、それがされていなかった場合は当然ながら介護施設側が責任を負います。
責任を問われないケース
では、介護施設側に責任がないとされるケースを見ていきましょう。利用者が徘徊した状況や本人の身体能力、徘徊の経路によっては損害賠償責任がないとされる場合もあります。例えば、高齢者の身体能力を考慮した上で徘徊の予想ができなかった場合は、責任はないとされることが多いです。あるいは、家族から徘徊の可能性が提示されておらずリスクを想定できなかった場合も、介護施設側には責任がありません。さらに、家族が意図的に徘徊の可能性を伝えていなかった場合は、家族側に損害賠償責任が生じます。
まとめ
この問題のカギになるのが、「事前に徘徊を予想できるか」です。その上で、徘徊をした事実と、徘徊した結果起きた出来事の2つに分けて責任が問われることになります。そのため、徘徊の予想ができていたとしても、責任に問われないケースもあります。例えば、本人が比較的元気な状態で、自身で危険を認識できる状態で事故に遭った場合、介護施設側は事故を予見できないため責任を負う必要はありません。ただし、認知症の影響で危機管理能力が低下している状態なのであれば、事故を予見できたとして責任を問われます。このように、当時の状況や本人の認知能力によって、責任の所在が変わります。