なぜ起きる?徘徊の原因
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身体的な理由
徘徊の原因は多岐に渡りますが、まず挙げられるのが身体的な理由です。身体に感じる違和感が徘徊を引き起こします。例えば、「喉が渇いたので飲み物が欲しい」「お腹が痛いのでトイレに行きたい」というきっかけから徘徊が始まります。身体的な違和感がきっかけになる場合は、その元となる要因(飲食、排せつなど)を取り除くことで精神的に落ち着く可能性があります。もし、便意が原因の場合は医師に相談することをおすすめします。胃腸の薬を処方することで便意が落ち着き、徘徊が起こる可能性が低くなります。
心理的な理由
心理的な理由も、徘徊が起こる原因の1つです。認知症による認知障害だけでなく、本人が感じる不安感や焦燥感などのストレスが原因で徘徊してしまいます。例えば、夕方に食事の支度や子どものお迎えをしていた過去の記憶により、その時間帯になると落ち着かなくなり徘徊をするパターンです。こういったケースでは、本人の様子を普段からよく観察した上で、なぜ外出したくなるのかを聞いてみましょう。ストレスを感じる理由が分かれば、それを軽減させることで徘徊を防止できます。
見当識障害や記憶障害
認知症の中核症状である見当識障害や記憶障害も、徘徊の原因になります。見当識障害になると、自分のいる場所が分からなくなります。また、記憶障害によって外出の目的や道が分からなくなり、結果的に徘徊につながります。慣れ親しんだ場所であっても、道に迷ってしまうので注意しなければなりません。家族の顔を認識できず、他人と思い込み大きなストレスが生じるケースもあります。そうなると、感情を抑えられず衝動的に行動してしまいます。記憶障害によって昔住んでいた家に帰ろうとするケースもあるので、臨機応変な対処が求められます。
環境の変化によるストレス
環境が変化したことによるストレスが徘徊につながるケースもあります。見覚えのない場所にいることにストレスを感じ、外出してしまいます。特に注意が必要なのは、介護施設を利用し始めた時期です。認知症の高齢者は混乱しやすいので、周囲が十分に理解した上で本人にとって居心地がいい環境を用意しなければなりません。周囲の状況が理解できず、どのように行動すればいいか分からず、それがより一層混乱を招きます。適切な判断力が失われ、結果的に徘徊へとつながるため、介護者には寄り添ったケアが求められます。これまでの環境と大きく変えないような工夫を施すなど、本人の状態に応じて適切に対処していきましょう。